レンタカーで嘔吐した時の料金|請求の内訳と、保険が関係する条件

レンタカーの車内で吐いてしまった。

自分か、同乗者か、子どもか。いずれにせよ、借りている車を汚してしまったという状況です。返却時間は迫っている。いくら請求されるのか分からない。

まず、いちばん誤解されやすいところから書きます。

請求されるのは、清掃費用だけではありません。

多くのレンタカー会社では、清掃費用と、その車が貸し出せない期間の補償が、別々に請求されます。後者はNOC(ノンオペレーションチャージ)と呼ばれるもので、免責補償に入っていても支払対象になるのが一般的です。

「保険に入っているから大丈夫」と思っていると、ここでずれます。

この記事では、何が請求されるのか、返却までに何をすべきか、逆に勝手にやってはいけないことは何かを、順に説明します。保険で確認できる可能性がある範囲についても触れますが、保険が使えるかどうかは契約内容と保険会社の判断で決まるので、この記事では断定しません。確認すべきポイントを示します。

1. まず、いま何時間あるかを確認する

汚れの処理は、時間が経つほど不利になります。

嘔吐物は水分と一緒に、シートの繊維、その下のウレタン、さらに座面の底まで落ちていきます。表面にあるうちに取れば、話は小さく済みます。

ですから、最初にやることは掃除ではなく、状況の確認です。

確認することなぜ
返却まで何時間あるか自分でできる範囲が決まる
どこが汚れたか(座面/背もたれ/床/隙間)隙間に入っているかで難易度が変わる
布シートか、革・合皮か革・合皮は染み込まない。布は染み込む
汚れてから何分経ったか30分以内なら、かなり違う
車種・グレード車格でNOCの額が変わることがある

布シートで、隙間に流れ込んでいて、時間が経っている。この3つが揃うと、自分で処理できる範囲を超えます。

嘔吐物は、シートの中をどう進むか

座面と背もたれの境目に流れ込んだ嘔吐の汚れ

「時間が経つと不利」と書きましたが、その間に何が起きているのかを説明します。ここを知っていると、どこまで急ぐべきかの判断ができます。

布シートは、上から順にこうなっています。

層中身液体に対して
1. 表皮織物・ニット通気性がある。通す
2. ワディング薄いウレタンの裏打ち吸う
3. クッション厚いウレタンフォームスポンジ。大量に吸う
4. 底面Sバネ、フレーム、床たまる

1層目に通気性があるのは、意図的です。座ったときに蒸れないよう、空気が通る構造になっています。その通り道を、液体も通ります。

革・合皮のシートが有利なのは、この1層目が液体を通さないからです。革のシートで拭き取りだけで済むことがあるのは、汚れが表面に留まっているためです。

3層目のウレタンフォームは、無数の気泡がつながった構造をしています。キッチンスポンジと同じで、一度吸うと自重では出てきません。そして、上から押して吸い出せる量には限りがあります。

拭いても臭いが残る理由

嘔吐物に含まれるのは、食べたものだけではありません。胃酸、消化酵素、そして胃の中の細菌が一緒に出ています。

シートの内部は、温度があり、湿っていて、有機物があるという条件が揃います。細菌にとっては良い環境で、そこで分解が続きます。

だから、こういう順序になります。

  1. 直後 … 臭いは強いが、拭けば大きく減る
  2. 数時間後 … 表面が乾いて、臭いが弱まったように感じる
  3. 2〜3日後 … 内部で分解が進み、臭いが戻ってくる
  4. 暑い日 … 温度が上がって揮発し、いちばん強くなる

「拭いた直後は消えたのに、後から戻った」というのは、失敗ではなく、この過程です。表面の処理は成功していて、届いていない層が残っているという意味になります。

レンタカーの場合、この3〜4の段階は、返却後にレンタカー会社側で起きます。返却時に臭いが弱くても、後日連絡が来ることがあるのは、このためです。

2. 請求されるものは2つある

ここが、この記事でいちばん重要な部分です。

内訳

1つ目:清掃費用

汚れを落とすための実費です。汚れの範囲と程度で変わります。軽い飲みこぼし程度と、シートに染み込んだ嘔吐では、当然ながら金額が違います。

2つ目:NOC(ノンオペレーションチャージ)

「その車を貸し出せない間の営業補償」です。清掃や修理のために車を使えない期間、レンタカー会社は本来得られたはずの売上を失います。それを利用者が一部負担する、という考え方です。

免責補償制度(CDW)に加入していても、NOCは別扱いになるのが一般的です。「保険に入ったから何があっても0円」ではありません。ここが、多くの人がつまずくところです。

なぜ休業補償が発生するのか

理不尽に感じるかもしれないので、仕組みを書いておきます。

嘔吐で汚れた車は、その日のうちには貸し出せません。清掃には時間がかかり、さらに乾燥が必要だからです。

車のシートの座面を洗浄液の泡で洗っているところ。生地全体が濡れている

前の章で書いたとおり、汚れは表面だけでなく内部に入ります。内部まで洗浄すれば、当然ながら内部が濡れます。濡れたまま次の人に貸すことはできませんし、生乾きの状態で貸せば、今度はカビ臭の原因になります。

その結果、清掃1日、乾燥に1〜2日という具合に、車が稼働できない日が発生します。その日数分の売上が失われる、というのがNOCの根拠です。

つまり、汚れの範囲が広いほど乾燥に時間がかかり、稼働できない日数が延びます。汚した直後に水分を吸い取ることが効くのは、清掃の手間だけでなく、この日数にも関わるからです。

なお、臭いが取れない場合はシートを外して洗うことになり、さらに日数が延びます。多くの会社がNOCを定額にしているのは、こうした変動をいちいち計算しないための取り決めです。

NOCの金額

多くのレンタカー会社では、車が自走できるかどうかで金額を分けています。

状態よくある設定
自走して返却できる2万円
自走できない(レッカー等)5万円

嘔吐や汚損の場合、車は自走できるので、前者に当たるのが通常です。

ただしこれは各社の約款によります。金額が違う会社もあれば、「NOC補償」という追加オプションに入っていればNOCが免除される会社もあります。契約時に渡された書類か、レンタカー会社の公式サイトの約款を必ず確認してください。

さらに、汚損の程度によっては、NOCとは別枠で「特殊清掃費用」を設定している会社もあります。嘔吐、ペットの粗相、タバコの焦げ跡などが、これに当たります。

つまり、こうなる

請求額 = 清掃費用 + NOC(+ 特殊清掃費用が設定されている場合)

「清掃代だけだと思っていたら倍近くになった」というのは、この構造を知らないために起きます。

金額を左右するのは「範囲」

清掃費用を決めるのは、汚れの面積ではなく、深さと範囲です。

  • 表面だけ … 拭き取りで済む
  • 繊維の中まで … 洗浄が必要
  • ウレタンまで … シートを外して洗う
  • シートの下の床、レール、隙間 … 分解の範囲が広がる

だから、汚れた直後に何をするかで、金額が変わります。時間が経って染み込むほど、上の段階に進んでいきます。

これが、この記事で最初に「何時間あるか」を確認した理由です。

3. 返却までにやること

手順1:レンタカー会社に連絡する

先に連絡してください。

「黙って返して、バレなければ」と考える気持ちは分かりますが、嘔吐は必ず分かります。車内は密閉空間なので、次の利用者に貸し出す前の点検で確実に発覚します。

そして、発覚したときに「申告がなかった」という事実が加わると、話が大きくなります。清掃の範囲も、こちらの言い分が通りにくくなります。

連絡するときに伝えることは、これだけで十分です。

  • いつ、どこが汚れたか
  • 何で汚れたか(嘔吐、飲み物など)
  • いま自分でどこまで処理したか
  • 返却予定時刻

このとき、「自分で清掃業者を呼んでもいいか」も聞いてください。理由は後述します。

手順2:固形物を先に取る

濡らす前に、固形物を取り除きます。

いきなり水や洗剤をかけると、固形物がほぐれて繊維の奥に入り込みます。ビニール袋と、ヘラ代わりになるもの(カード、割り箸、プラスチックのスプーン)で、すくって捨ててください。

擦らないでください。擦ると、繊維の隙間に押し込むことになります。

手順3:水分を吸わせる

ここがいちばん効きます。

乾いたタオル、ティッシュ、キッチンペーパーを、汚れた場所に押し当てます。拭くのではなく、押して吸わせます。

体重をかけて、5秒押す。持ち上げる。新しい面に変える。また押す。これを、紙に色が付かなくなるまで繰り返します。

面倒に見えますが、この工程で回収できた分だけ、下に落ちる量が減ります。シートの内部に到達する量を、ここで減らせます。

手順4:水で薄めて、また吸わせる

固形物と水分を取ったら、少量の水をかけて、また押して吸わせます。

「かける水は、吸い取れる量まで」です。びしょびしょにすると、汚れが下へ運ばれるだけになります。霧吹きがあれば理想的ですが、なければペットボトルのキャップ1〜2杯ずつで進めてください。

これを2〜3回繰り返します。

手順5:換気して乾かす

ドアを全部開けて、風を通します。夏場なら、これだけでかなり乾きます。

エアコンの温風を当てないでください。理由は次の章に書きます。

手順6:写真を撮っておく

自分で処理する前と、処理した後の両方を撮ってください。

保険を使う可能性がある場合、清掃前の状態が分かる写真を求められることがあります。また、レンタカー会社との間で汚れの範囲について認識がずれたときに、事実を示せます。

返却してしまうと、もう撮れません。

4. やってはいけないこと

黙って返す

前述のとおりです。発覚したときに不利になります。

熱を加える

お湯、ドライヤーの温風、エアコンの暖房。これらは避けてください。

嘔吐物にはタンパク質が含まれていて、熱を加えると固まります。卵が焼けるのと同じ現象です。固まると繊維に定着し、後から水で戻せなくなります。

臭いも、熱で定着します。乾かしたいときは、温めるのではなく風を送ってください。

芳香剤や消臭スプレーで隠す

臭いが混ざって、かえって強くなります。

嘔吐臭は酸性の揮発成分で、香りをかぶせても中和されません。「甘い香りと嘔吐臭が混ざった臭い」になり、元の状態より不快になることがあります。

そしてレンタカー会社の点検では、これは隠せません。むしろ「隠そうとした」と受け取られます。

強く擦る

シートの生地が毛羽立ち、汚れが繊維の奥に入ります。押して吸わせる。これが原則です。

車内に消臭剤を置いて返す

置き型の消臭剤を残していくのは、汚したことを知らせる合図にはなりますが、清掃の代わりにはなりません。

勝手に清掃業者を手配する

これが、意外と見落とされます。

「返す前に自分できれいにしておけば、請求が減るのでは」と考えるのは自然ですが、レンタカー会社に無断で第三者の業者を入れるのは避けてください。

理由は3つあります。

  1. 車はレンタカー会社の資産です。所有者の同意なく、第三者が作業することになります
  2. 作業で新たな損傷が出た場合(シートの色落ち、内装の傷)、責任の所在が複雑になります
  3. 会社によっては、指定の工場でしか清掃を認めていません

やるなら、必ず事前に相談してください。手順1で「自分で清掃業者を呼んでもいいか」を聞くように書いたのは、このためです。

許可が出るケースはあります。特に、返却期限に余裕があり、汚れの範囲が限定的な場合です。許可が出れば、結果的に費用を抑えられる可能性はあります。ただし、判断するのはレンタカー会社です。

5. 保険で確認できる可能性があること

ここは断定できない領域です。保険が使えるかどうかは、加入している保険の内容、汚した状況、契約者と運転者の関係、保険会社の判断によって変わります。

そのうえで、確認する価値があるものを挙げます。

個人賠償責任保険

他人のものを壊したり汚したりしたときに使える可能性がある保険です。レンタカーは他人(レンタカー会社)の資産なので、確認する対象にはなり得ます。

問題は、多くの人が「自分が入っているかどうか」を知らないことです。この保険は単独で加入するより、他の保険に特約として付いていることが多いためです。

付いていることがある場所:

  • 自動車保険の特約
  • 火災保険・住宅総合保険の特約
  • 傷害保険の特約
  • クレジットカードの付帯サービス
  • 共済(県民共済・全労済など)の特約
  • 自転車保険

まず、この5〜6か所の証券を確認してください。「入っていないと思っていたら、火災保険に付いていた」というのは珍しくありません。

確認するときに聞くこと

保険会社に問い合わせるとき、次の情報を揃えてから電話すると話が早くなります。

  • いつ、どこで、何が起きたか
  • 汚したのは誰か(契約者本人か、家族か、同乗者か)
  • 汚したのは何か(嘔吐、飲み物、その他)
  • 相手(レンタカー会社)から何を請求されているか、または請求される見込みか
  • 清掃費用とNOCの内訳

そして、必ず聞いてほしいことがあります。

「NOC(休業補償)も対象になりますか」

清掃費用は対象でも、NOCは対象外という扱いになることがあります。内訳ごとに確認してください。「レンタカーを汚しました」だけでは、この区別が伝わりません。

必要になることがある書類

保険会社によって異なりますが、求められることがあるものを挙げます。

  • 清掃前の写真
  • レンタカー会社が発行する請求書
  • 見積書
  • 領収書
  • 事故・汚損の状況を説明する書類

清掃前の写真は、後から用意できません。手順6で撮っておくよう書いたのは、このためです。

汚したのが自分でない場合、誰の保険を見るのか

ここは混乱しやすいところです。

レンタカーで吐いたのが、同乗していた友人や、取引先の人だった。この場合、支払いを請求される相手と、保険を確認すべき人が、別々になることがあります。

整理すると、こうなります。

誰か
レンタカー会社が請求する相手契約者(借りた人)
実際に汚した人同乗者
個人賠償責任保険を確認する対象汚した本人(とその家族)

レンタカー会社は、契約者に請求します。誰が吐いたかは、契約上は関係ありません。借りた人が車を返す責任を負っているためです。

一方、個人賠償責任保険は「他人のものを壊した本人」の保険です。つまり、汚したのが同乗者であれば、確認すべきなのは同乗者の保険ということになります。

この2つがずれるので、話がややこしくなります。

実務的には、次の順序になることが多いです。

  1. レンタカー会社が契約者に請求する
  2. 契約者がいったん支払う
  3. 契約者と同乗者の間で精算する
  4. 同乗者が自分の保険を確認する

3の段階で、金額の根拠が必要になります。だから請求書と内訳は必ず保管してください。「だいたいこれくらいだった」では、相手も自分の保険会社に説明できません。

なお、家族が汚した場合は、契約者本人の個人賠償責任保険で確認できる可能性があります。この保険は多くの場合、本人だけでなく同居の家族まで対象に含んでいるためです。子どもが吐いた場合が、ここに当たります。

逆に、別々にお住まいのご家族やご親戚が汚した場合は、その方自身の個人賠償責任保険を確認する話になります。対象外とされているのは「同居の親族に対する賠償責任」で、親等ではなく同居か別居かで分かれるためです。ただし、その方がその車を借りて運転していた場合は、借りた物として対象外になることがあります。レンタカーは誰が運転者として契約されているかで変わるので、契約書の運転者欄とあわせて確認してください。

ただし、対象になる家族の範囲は契約によって違います。必ず自分の証券で確認してください。

清掃前に保険会社へ連絡すべきか

先に確認したほうが安全です。保険会社によっては、清掃前に連絡することを条件にしている場合があります。

ただし、レンタカーの場合は返却期限があります。保険の確認を待って返却が遅れると、延長料金が発生します。保険の確認と、レンタカー会社への連絡は、並行して進めてください。

保険が使えなかったとしても、清掃自体は進められます。確認が終わるまで何もしない、という進め方は、汚れが染み込む時間を延ばすだけです。

6. カーシェア・友人の車では、話が違う

カーシェアは、発覚の仕方が違う

カーシェアも「他人の車」ですが、レンタカーとは決定的に違う点があります。

返却時に、点検する人がいません。

レンタカーは、返却時にスタッフが車を確認します。その場で汚れが見つかり、その場で話が始まります。カーシェアは無人で、鍵を閉めれば終わりです。

問題は、次に乗る人が発見するという点です。

多くのカーシェアでは、次の利用者が汚れを見つけて運営に報告します。そこから、直前の利用者であるあなたに連絡が来ます。このとき、状況は次のようになっています。

  • 次の利用者は予約した車を使えないか、汚れた車に乗ることになる
  • 運営はその人への対応(返金・代替車の手配)をすることになる
  • あなたには、申告がなかったという事実が付く

レンタカーで「黙って返す」よりも、影響が広がります。

カーシェア各社は、車内を汚した場合のペナルティや清掃費用を規約で定めています。呼び方は会社によって違いますが、考え方はレンタカーのNOCと同じで、清掃費用とは別に設定されているのが一般的です。

そして多くの会社が、「汚した場合は返却前に申告すること」を規約で求めています。申告があるかないかで扱いが変わる可能性があるので、汚してしまったら、返却前にアプリや電話で連絡してください。

次の予約が入っている場合は、特に急いでください。あなたが連絡することで、運営が次の利用者に手を打てます。

友人・知人の車の場合

同じ「他人の車を汚した」でも、レンタカーと個人の車では構造が違います。

レンタカー友人・知人の車
請求の仕組み約款で決まっている決まっていない。話し合い
NOCあるない
清掃業者会社の指定または要相談自分で手配できる
金額会社の基準実費
難しさ金額が読めない人間関係

友人の車のほうが、実は選択肢がある

自分で清掃業者を手配できるというのは、大きな違いです。

レンタカーでは、清掃の方法も金額も相手が決めます。友人の車なら、車の持ち主に相談したうえで、自分で業者を呼んで、実費で払うという選択ができます。NOCのような、実費以外の負担も発生しません。

気をつけたほうがいいこと

「自分で掃除しておくから大丈夫」で済ませないことをおすすめします。

理由は、臭いが後から出てくるからです。汚した当日は、拭き取って換気すれば臭わなくなります。問題は、数日後の暑い日です。シートの内部に残った分が、温度が上がったときに揮発します。

そのとき、車の持ち主はあなたに言いにくい状態になっています。汚した本人が「もう大丈夫」と言っているのに、後から「まだ臭う」とは切り出しにくい。

この気まずさが、いちばんの損害です。

汚した範囲が広い、隙間に流れ込んだ、時間が経っていた。このいずれかに当たるなら、最初の段階で「業者に頼んでいいか」を聞いておいたほうが、結果的に関係を守れます。

嘔吐の臭いが後から戻ってくる仕組みは、こちらに詳しく書いています。

→ 車の嘔吐臭はいつ消える?日数ごとの変化と待っても消えない条件

7. 自分の車で同じことが起きたら

ここまでは「他人の車」の話でした。最後に、自分の車の場合に触れておきます。

なぜなら、多くの人は、レンタカーで吐いた経験より先に、自分の車で同じ状況に遭遇するからです。子どもの車酔い、飲み会帰り、体調不良。

そして、自分の車のほうが厄介です。

返す相手がいない、という問題

レンタカーには期限があります。返却時刻までに何とかしなければならない。金額は痛いですが、返した時点で終わります。

自分の車には、それがありません。

  • 誰にも請求されない
  • 誰にも点検されない
  • 「そのうちやろう」と思ったまま、数か月が経つ
  • その間、汚れは内部で進行し続ける

期限がないことは、有利ではありません。先延ばしにできてしまうという意味では、むしろ不利です。

進行する

嘔吐物が繊維の中に残ると、そこで細菌が分解を続けます。臭いは、拭き取った直後がいちばん弱く、そこから数日かけて強くなることがあります。

「拭いたのに、翌週のほうが臭い」というのは、この過程です。

さらに、時間が経つほどシートの内部からしか取れない状態になっていきます。表面を拭くだけでは届かない場所に移動しているためです。

判断の目安

自分の車で嘔吐があった場合、次のどれかに当てはまるなら、自分でやる範囲を超えていると考えてください。

  • シートの隙間に流れ込んだ(座面と背もたれの境目、シートベルトの根元)
  • 拭いた後で、暑い日に臭いが戻る
  • 押すと、じわっと水分が出てくる
  • 3日以上経っている
  • シートの下の床まで届いた

このうち「暑い日に戻る」は、内部に残っているという明確なサインです。表面の処理は成功していて、届いていない場所があるという意味になります。

やってみて解決しなかったことは、失敗ではありません。どこに残っているかを絞り込めた、という結果です。

子どもの嘔吐と車酔いについては、こちらに整理しています。

→ 子どもの車酔い対策|車内の臭いが原因になる理由と嘔吐後に残るもの

→ チャイルドシートの嘔吐汚れの落とし方|洗える部分と洗えない部分

8. よくある質問

Q. レンタカーで吐いてしまいました。いくら請求されますか。

会社と汚れの程度によります。この記事で断定はできません。ただし内訳としては、清掃費用とNOC(休業補償)の2つになるのが一般的です。NOCは自走可能な場合で2万円としている会社が多いですが、必ず契約書か約款を確認してください。

Q. 免責補償に入っていれば、追加の請求はありませんか。

NOCは別扱いになるのが一般的です。免責補償(CDW)は、車両の損害に対する自己負担をなくすもので、休業補償までは含まないのが通常です。ただし「NOC補償」という追加オプションを用意している会社もあります。加入内容を確認してください。

Q. 黙って返したらどうなりますか。

分かります。返却後の点検で発覚し、後から連絡が来ます。そのうえ申告しなかったという事実が加わるため、状況が悪くなります。先に伝えてください。

Q. 自分で清掃業者を呼んで、きれいにしてから返してもいいですか。

レンタカー会社に必ず確認してください。無断で第三者に作業させるのは避けたほうがいい行為です。許可が出るケースはあります。ただし判断するのは車の所有者であるレンタカー会社です。

Q. 保険は使えますか。

契約内容と保険会社の判断によります。他人の車を汚した場合、個人賠償責任保険を確認できる可能性があります。自動車保険、火災保険、クレジットカード、共済などに特約として付いていることがあるので、まず自分が加入しているかを確認してください。

Q. 清掃費用は保険で出ても、NOCは出ませんか。

内訳ごとに扱いが変わることがあります。「レンタカーを汚した」とだけ伝えるのではなく、「清掃費用」と「NOC」を分けて、それぞれ対象になるかを聞いてください。

Q. 消臭スプレーをかけて返すのはどうですか。

やめたほうがいいです。臭いが混ざって強くなることがあり、隠せもしません。かけるなら、水分を吸い取ったうえで、換気を優先してください。

Q. お湯で洗ったほうが落ちますか。

逆効果です。嘔吐物に含まれるタンパク質は、熱で固まります。常温の水を使ってください。

Q. どこまで自分でやれば、請求が減りますか。

減るかどうかは会社の判断ですが、汚れの進行は確実に止められます。特に効くのは固形物の除去と、水分を押して吸い取る工程です。この2つを汚れた直後にやるかどうかで、内部に到達する量が変わります。結果として清掃の範囲が変わる可能性はあります。

Q. 友人の車を汚しました。いくら渡せばいいですか。

実費です。車内清掃の費用は、汚れの範囲と作業内容で変わります。先に業者に見積もりを取り、その金額を持って相談するほうが、お互いに納得しやすくなります。「いくらか包む」で済ませると、後から臭いが出たときに話が再燃します。

Q. カーシェアでも同じですか。

基本的な考え方は同じです。カーシェアの各社も、清掃費用とペナルティ(会社によって呼び方が違います)を設定しています。規約の「車内を汚した場合」の項目を確認してください。申告が必要な点も同じです。

9. まとめ

  • レンタカーの請求は清掃費用とNOC(休業補償)の2つです。免責補償に入っていてもNOCは別扱いが一般的です
  • 金額は約款で決まっています。契約書か公式サイトで必ず確認してください
  • 必ず先に申告してください。黙って返しても発覚し、状況が悪くなります
  • 自分でやるべきは固形物の除去と、押して水分を吸い取ること。これで内部に届く量が減ります
  • 熱を加えない。芳香剤で隠さない。擦らない
  • 無断で清掃業者を手配しない。相談すれば許可が出ることはあります
  • 保険は個人賠償責任保険を確認する価値があります。ただし使えるかは契約内容次第です。清掃費用とNOCを分けて聞いてください
  • 友人の車なら自分で業者を手配できます。そのほうが実費で済み、後の気まずさも避けられます

そして、自分の車で同じことが起きたときのほうが、実は長引きます。返す相手も期限もないぶん、後回しにできてしまうからです。

拭いたのに暑い日に臭いが戻る、シートの隙間に流れ込んだ、数日経ってしまった。そういう状態であれば、内部に残っています。表面を何度拭いても届きません。

専用のノズルでシートを洗いながら汚水を吸い出しているところ

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嘔吐の臭いがいつまで残るのか、何が起きているのかは、こちらもあわせてご覧ください。

→ 車の嘔吐臭はいつ消える?日数ごとの変化と待っても消えない条件

→ 子どもの車酔い対策|車内の臭いが原因になる理由と嘔吐後に残るもの

→ 車内の臭いと汚れの情報(記事の一覧)

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