エバポレーター洗浄後も臭いが残る原因|3つの洗浄方式の違い

お金を払ってエアコンの洗浄をしてもらったのに、数日後にまた同じ臭いがしてくる。あるいは、作業を終えた直後から「そんなに変わっていない気がする」と感じている。

この記事は、そういう状態の方に向けて書いています。

先に結論から書きます。「エバポレーター洗浄」という言葉が指す作業は、一つではありません。 スプレーを吹き込んで終わる作業も、内部の部品を取り外して洗う作業も、同じ「エバポレーター洗浄」という名前で呼ばれています。作業時間も、料金も、届く範囲も違います。

臭いが残る理由の多くは、ここにあります。

そもそもエバポレーターは、どこにあって何をしている部品なのか

エアコンの話をするとき、多くの人が思い浮かべるのはエアコンフィルターだと思います。グローブボックスの奥にあって、自分でも交換できるあの部品です。

エバポレーターは、そのさらに奥にあります。

ダッシュボードパネルの内側にあるエアコンユニットの中に組み込まれていて、外からは見えません。構造としてはラジエーターに似ていて、冷媒が通る細いチューブと、風が通り抜けるフィンが、交互に何層も重なっています。

この写真は、実際に車のエアコンユニット内部にカメラを入れて撮影したものです。

車のエアコンユニット内部にあるエバポレーターのフィン
画像1: エバポレーターのフィン(内部にカメラを入れて撮影)

細い金属の板が、隙間なく並んでいるのが分かると思います。この隙間を風が通り抜けて、冷たい風になって出てきます。

冷える仕組みが、そのまま臭いの原因になっている

エアコンが冷たい風を出せるのは、エバポレーターが冷えているからです。冷たいものが空気に触れると何が起きるか。結露します。夏に冷たい飲み物を置いておくと、コップの外側に水滴がつくのと同じことが、この金属の板の上で起きています。

車を停めてエアコンを切った後も、この水分はしばらく残ります。暗くて、風が通らず、湿っていて、しかも空気中のホコリや皮脂が付着している。カビにとっては、これ以上ない環境です。

つまり、エアコンを使う限り、エバポレーターは必ず濡れます。臭いの発生は、車が壊れているから起きるのではなく、正常に動いているからこそ起きる現象です。

「つけ始めだけ臭う」「エアコンを入れた瞬間だけ、むわっとくる」という症状に心当たりがある方は多いと思います。停車中に繁殖したカビが、送風の開始と同時に一気に車内へ運ばれてくるためです。しばらくすると気にならなくなるのは、臭いの元が出尽くしたのと、鼻が慣れるためです。

「エバポレーター洗浄」と呼ばれる作業には、幅があります

ここからが本題です。

同じ名前で呼ばれていても、実際に行われる作業には、おおよそ次のような幅があります。

1. スプレー式のクリーナーを吹き込む

カー用品店でも売られている、エバポレーター用のクリーナーを使う方法です。エアコンフィルターを外した穴や、ドレン(水の抜け口)から薬剤を吹き込みます。

手軽で、料金も安く、時間もかかりません。軽い臭いであれば、これで収まることもあります。

ただし、薬剤が届く範囲は限られます。フィンは何層にも重なっているので、表面には届いても、奥まで届いたかどうかは目で確認できません。

2. 内部の部品を取り外して洗う

ダッシュボードの下側を分解し、送風を担うブロアファンなどの部品を取り外して、直接洗う方法です。

これは実際の作業中の写真です。

車のダッシュボード下を分解してブロアファンを取り外した作業風景
画像2: ダッシュボード下を分解し、ブロアファンを取り外した状態
取り外した車のブロアファン。羽根に汚れが付着している
画像3: 取り外したブロアファン(洗浄前)
洗浄後の車のブロアファン。汚れが落ちて白くなっている
画像4: 同じファンの洗浄後

羽根の一枚一枚に汚れが溜まっていたのが、洗浄後には元の白さに戻っているのが分かると思います。

この汚れは、スプレーを吹き込むだけでは落ちません。ファンは風を送る部品なので、ここが汚れていると、エバポレーターをきれいにしても汚れた風が出てきます。

一方で、この方法には分解を伴うという性質があります。ダッシュボード周りの外し方は車種によって異なり、普段は触らない場所です。内装のツメが折れたり、配線やコネクタを傷めたりするリスクは、分解する以上ゼロにはできません。

3. カメラで内部を確認しながら高圧洗浄する

小型のカメラが付いた洗浄用のホースをエアコンユニット内部へ差し込み、内部を映像で確認しながら高圧の水流で洗う方法です。

部品を取り外さないので、分解によるリスクを避けられます。そして、どこにどれだけ汚れが残っているかを、映像で確認しながら作業できます。冒頭の画像1は、この方式で撮影されたものです。

専用の機材が必要になるため、対応できる業者は限られます。

つまり、何が起きていたのか

ここまで読んでいただいた方には、もう見当がついているかもしれません。

「エバポレーター洗浄をしてもらった」という同じ経験でも、実際に行われた作業が1なのか、2なのか、3なのかで、結果は変わります。

料金だけを見て比較すると、この違いは見えません。作業時間も、1であれば短時間で終わり、2であれば分解と組み付けの時間が必要になります。

これは、どの方法が正しくてどれが間違い、という話ではありません。軽い臭いにスプレー式で十分なこともあれば、ファンの汚れが原因なら取り外して洗うしかないこともあります。車種によって分解のしやすさも違います。

問題は、依頼する側から見て、どの作業が行われるのかが分かりにくいことにあります。

臭いの種類から、原因はある程度絞り込めます

もう一つ、次の相談に進む前に整理しておくと役に立つことがあります。どんな臭いなのかです。

「車のエアコンが臭い」と一口に言っても、実際に嗅いでいる臭いは人によってかなり違います。そして臭いの種類によって、原因も、対処すべき相手も変わります。ここでは、よく聞く表現ごとに分けて説明します。

自分の車の臭いに近いものを探してみてください。

酸っぱい臭い、すっぱい臭い

エアコン内部のカビや雑菌が原因である可能性が高い臭いです。この記事で扱っている、もっとも典型的なパターンだと思ってください。

エバポレーターの表面に付着した水分の中で、カビや細菌が繁殖すると、その代謝で酸のような臭いが出ます。エアコンをつけた瞬間に強く感じ、しばらくすると弱まるという出方をすることが多いのも特徴です。

エアコンを切っているときは臭わず、つけたときだけ酸っぱい。そういう症状であれば、原因はエアコンの内部にあると考えて、ほぼ問題ありません。

雑巾のような臭い、生乾きの洗濯物のような臭い

これも内部の湿気とカビが原因であることが多い臭いです。酸っぱい臭いと同じ系統ですが、より「湿り気」を強く感じる表現です。

洗濯物の生乾き臭と原因が近いというのは、感覚的にも納得しやすいのではないかと思います。どちらも「濡れたまま乾かなかった」ことで雑菌が増えた結果だからです。

エバポレーターは、まさに濡れたまま乾かない場所です。

ドブのような臭い、下水のような臭い

強く出る場合、ドレン(水の抜け口)の詰まりが関係していることがあります。

エバポレーターで発生した結露は、ドレンホースを通って車の下へ排出されます。ここが落ち葉や泥、虫の巣などで詰まると、水が抜けきらずに内部に溜まります。溜まった水は当然腐ります。

見分け方として、エアコンをつけて停車したとき、車の下に水滴が落ちているかを確認してみてください。真夏にエアコンを使えば、通常はそれなりの量の水が落ちます。まったく落ちていないのに車内が湿っぽい、フロアマットが濡れている、といった症状があるときは、ドレンの詰まりを疑う理由があります。

このケースでは、洗浄よりも先に詰まりを解消する必要があります。

焦げたような臭い、ゴムが焼けるような臭い

これは、洗浄で消える種類の臭いではありません。

エアコンやヒーターを入れたときに焦げ臭さを感じる場合、電気系統やベルトなど、汚れとは別の要因が関係している可能性があります。先に点検を受けたほうがよい臭いです。

清掃を検討されている場合も、この症状があることは先に伝えてください。順番が変わります。

甘い臭い

暖房を入れたときに甘いような臭いがする場合も、汚れとは別の要因が関係していることがあります。冷却水(クーラント)が候補に挙がる臭いです。

同時に、水温計の動きがおかしい、冷却水が減っている、といった症状がないかも確認してみてください。心当たりがあれば、こちらも点検を先にされることをおすすめします。

ガソリンのような臭い、油の臭い

これも洗浄で減らせる臭いではありません。外気導入で走行中に強く臭う場合、前を走る車の排気を吸っているだけということもありますが、自車の停車中にも臭うなら一度点検してください。

タバコの臭い

エアコンの内部と、内装の両方に原因があります。

タバコの煙は、車内を漂ったあとエアコンの吸気口から内部に吸い込まれます。ヤニは油分を含んでいるので、エバポレーターのフィンやブロアファンに付着すると、そこにホコリを吸着させながら固着していきます。

同時に、天井の生地、シート、ダッシュボードの表面にも同じヤニが付着しています。どちらか片方だけを処理しても、残った側から臭いが戻ってきます。

自分では吸っていないのにタバコの匂いがする場合は、外から入ってきている可能性もあります。切り分け方を別の記事で書いています。

→ 車のエアコンがタバコ臭い原因|吸っていないのに臭うときの見分け方

何かが腐ったような、強烈な臭い

エアコンとは別に、車内のどこかに原因物がある可能性を先に潰したほうがよいケースです。

シートの下に落ちた食べ物、トランクに入れたまま忘れた荷物、こぼれた飲み物がシートの奥に染みているといった例は、実際によくあります。小動物が入り込んでいたという事例もあります。

こぼした飲み物が原因の場合は、こちらで詳しく書いています。

→ 車のシートに飲み物をこぼしたときの対処法|拭いても臭いが残る理由

エアコンの洗浄を検討する前に、まず車内を探してみてください。

臭いの種類を伝えると、相談が早く進みます

業者に相談するとき、「臭い」とだけ伝えるよりも、「酸っぱい臭いがする」「エアコンを切っていても雑巾みたいな臭いがする」と伝えたほうが、話が早く進みます。

どんな臭いか、いつ臭うか、エアコンを切っても臭うか。この3つを伝えられれば、原因の当たりはかなり付けられます。

洗浄しても臭いが残る、もう3つの原因

作業内容の違い以外にも、臭いが残る理由があります。心当たりがないか確認してみてください。

臭いの発生源が、エアコンの中ではなかった

これは意外と多いパターンです。

シートに染み込んだ汗や飲みこぼし、天井に染みついたタバコのヤニ、フロアマットの下に溜まった湿気とカビ。これらが原因の場合、エアコンをいくら洗浄しても臭いは消えません。

見分け方として、一つの目安があります。エアコンを切って、窓を開けて走っているときにも臭うかどうか。エアコンを使っていないのに臭うのであれば、発生源は車内の別の場所にあります。

足元から上がってくる感じがするなら、フロア側の可能性があります。

→ 車のフロアマットのカビ臭の原因|洗い方と、消えないときに見る場所

タバコの場合は、両方が同時に起きていることがよくあります。ヤニは内装全体に付着したうえで、エアコンの内部にも吸い込まれて溜まります。この場合、エアコンだけを洗浄しても、内装から再び臭いが出てきます。

洗浄そのものが、奥まで届いていなかった

フィンは何層にも重なった構造です。表面が洗えても、奥に汚れが残っていれば、そこからまた臭いが出ます。

作業の直後は薬剤の香りで気にならず、数日経って薬剤が飛んでから元の臭いが戻ってくるというのは、この状態でよく起きます。「作業した日は良かったのに」という感覚があるなら、可能性があります。

そもそも、また発生している

先ほど書いたとおり、エバポレーターはエアコンを使う限り必ず結露します。洗浄はリセットであって、その後カビが生えなくなる処置ではありません。

洗浄から半年、一年と経って臭いが戻ってきたのであれば、それは作業の失敗ではなく、再発です。

季節によって、症状の出方が変わります

「去年は気にならなかったのに、今年になって急に臭い出した」という感じ方をされる方がいます。これは車が急に汚れたのではなく、季節によって臭いの出方が変わるためであることが多いです。

再発かどうかを判断するうえでも役に立つので、整理しておきます。

梅雨から夏にかけて、いちばん強く出ます

理由は単純で、湿度が高く、エアコンをよく使う季節だからです。

外の空気が湿っていれば、エバポレーターに付く結露の量も増えます。気温が高ければカビの繁殖も速くなります。そして毎日エアコンを使うので、内部が乾く時間がありません。

「梅雨に入った途端に臭くなった」という体感は、実際に起きていることと一致しています。この時期の臭いは、汚れが増えたというより、条件が揃ったことで表に出てきたと考えたほうが正確です。

裏を返せば、臭いが気になり始めた時点では、原因はすでに前のシーズンから育っているということでもあります。

冷房の使い始め、シーズン最初の1回が強い

春先や初夏、その年に初めてエアコンを入れたときに強く臭う、という経験も多いと思います。

冬の間、エアコンを使っていなかったとしても、内部は完全に乾ききっているわけではありません。むしろ動かさない期間が長いほど、溜まったものがそのまま残ります。そこに久しぶりの送風が通れば、一気に車内へ運ばれます。

シーズン初めの臭いが毎年強くなっているなら、それは内部に蓄積が進んでいるサインです。

暖房でも臭う場合

「冷房ではなく暖房で臭うのだから、エバポレーターは関係ないのでは」と思われるかもしれません。

しかし、暖房のときも風は同じ通り道を通ります。車のエアコンユニットの中では、エバポレーターとヒーターが同じ箱の中に収まっています。暖かい風を出すときも、風はエバポレーターの脇を通り抜けてから車内に出てきます。

そのため、エバポレーターやブロアファンが汚れていれば、暖房でも臭いは出ます。むしろ温められることで、臭いがより広がりやすくなることもあります。

「暖房でも臭う」という症状は、エバポレーター側の原因を否定する材料にはなりません。

送風だけでも臭う場合

A/Cを入れず、送風だけにしても臭う。この場合、臭いの元は風の通り道そのものに付着していると考えられます。

冷房のときだけ臭うのであれば、冷えて結露している状態で臭いが出ている可能性があります。一方で送風でも臭うのであれば、すでに定着した汚れが、風が通るだけで舞い上がっている状態です。

後者のほうが、進んだ状態です。表面をなぞる程度の作業では届きにくくなります。

冬に臭いが弱まっても、消えたわけではありません

気温が下がるとカビの活動は鈍り、エアコンを使う頻度も減ります。臭いが弱まったように感じるのは、そのためです。

これを「治った」と受け取ってしまうと、翌年また同じことが起きます。冬の間に対処しておくと、シーズンに入ってから慌てずに済みます。繁忙期を外せるという意味でも、実は冬から春先は依頼しやすい時期です。

中古車を買ったら臭った、というとき

もう一つ、相談が多いパターンがあります。買ったばかりの中古車が臭うというケースです。

このケースは、自分の使い方が原因ではないぶん、判断に迷いやすいところがあります。

納車前のクリーニングでは、内部まで届いていないことがあります

中古車は納車前に清掃されているのが普通です。ただし、その清掃がどこまでを含むかは、販売店や車両の価格帯によって変わります。

シートや内装の清掃と、エアコン内部の洗浄は、別の作業です。見た目がきれいに仕上がっていても、エアコンユニットの内部には前のオーナーの使用期間ぶんの蓄積がそのまま残っている、ということは起こり得ます。

車内を見ただけでは分からないのが、この部分の厄介なところです。

前のオーナーが喫煙者だった場合

喫煙車は、内装とエアコン内部の両方にヤニが回っています。

購入時に「消臭済み」と説明されていても、それが室内をスプレーや消臭剤で処理した範囲であれば、エアコン内部までは届いていない可能性があります。実際、買った直後は気にならなかったのに、夏になってエアコンを使い始めたら臭い出したという順序で相談に至る方がいます。

これは、購入時の消臭が内装側に対しては効いていて、エアコン内部だけが残っていた、という説明で辻褄が合います。

保証やクレームの対象になるかは、契約次第です

「納車直後なのだから直してもらえないのか」という点については、販売店との契約内容によります。保証の範囲や、購入時にどう説明されていたかで扱いが変わるため、ここで一律に「対象になる」とは言えません。

まずは購入した販売店に相談してください。そのうえで対応されない場合に、外部の業者を検討するという順序が無駄になりません。

中古車を買った直後は、実は良いタイミングです

一方で、購入直後にエアコン内部を一度リセットしておくというのは、合理的な判断でもあります。

前のオーナーがどう使っていたかは分かりません。エアコンをつけたまま降りていたのか、喫煙していたのか、ペットを乗せていたのか。分からないものを一度ゼロにしてから乗り始めれば、その後の変化は自分の使い方の結果として把握できます。

臭いが出てから対処するより、状態が読める状態にしておくほうが、結果的に管理はしやすくなります。

業者に頼む前に、自分で確認できること

エアコンの内部そのものは分解しないと触れませんが、確認できる場所はあります。ここを見ておくと、次に相談するときの精度が上がります。

エアコンフィルターを見る

多くの車では、助手席のグローブボックスを外すとフィルターにアクセスできます。工具なしで手が届く車種も多く、交換用のフィルターも数千円で手に入ります。

これは実際に車から取り外したフィルターです。

車から取り外した使用済みのエアコンフィルター。ホコリが詰まっている
画像5: 使用済みのエアコンフィルター

指で押さえている部分と、その左側を比べてみてください。繊維の隙間がホコリで埋まっています。

ここまで詰まっていると、風量が落ちるだけでなく、溜まったホコリ自体が臭いの元になります。フィルターの交換で改善するケースは、実際にあります。エアコン内部の洗浄を検討する前に、まずここを確認する価値は十分にあります。

エアコンを切って走ってみる

先ほど書いた見分け方です。エアコンを止めて、窓を開けた状態で走っても臭うなら、原因はエアコンの外にあります。これだけで、次に相談すべき内容が変わります。

内気循環にしっぱなしになっていないか

内気循環は、車内の空気を回し続ける設定です。外の空気を取り込まないぶん冷えやすい一方で、湿気も車内にこもり続けます。

窓が曇りやすい、乗っているとなんとなく空気が重い、という自覚があるなら、外気導入に切り替える時間を作ってみてください。

降りる前に、送風で乾かす

臭いの根本は、エバポレーターが濡れたまま放置されることです。であれば、乾かせば発生を遅らせられます。

目的地に着く数分前にA/Cのスイッチだけ切り、送風は動かしたままにしておく。これで内部の水分がある程度飛びます。すでに発生している臭いは消えませんが、これから増やさないためには意味があります。

市販のスプレーで、どこまでできるか

エバポレーター用のクリーナーは市販されています。使ってはいけないものではありません。

ただし、先ほどの「作業の幅」でいう1番目にあたります。表面に届く範囲では効果があり、それで収まる状態であれば、それが一番安上がりです。

逆に言えば、市販のスプレーを試して変わらなかったのであれば、それは「1番目では届かない状態だった」という情報になります。次に検討すべきは2番目か3番目です。試したこと自体は無駄になりません。

なお、消臭スプレーや芳香剤を車内に撒くのは、臭いを別の臭いで覆っているだけなので、発生源には作用しません。一時的に楽になっても、原因は残ります。

車種によって、できることが変わります

ここは、依頼する前に知っておいていただきたい点です。

エアコン内部の洗浄は、どの車にも同じようにできる作業ではありません。

構造が車種ごとに違います

エバポレーターが収まっているエアコンユニットは、ダッシュボードパネルの奥にあります。そこへどうやってアクセスするかは、車種によってまったく違います。

グローブボックスを外すだけで手が届く車もあれば、センターコンソールやダッシュボードの一部を外さないと届かない車もあります。エアコンフィルターの入り口の形状も、ドレンの位置も、ユニットの向きも、メーカーや年式によって変わります。

普段の整備でも触らない場所です。日常的に開け閉めする前提で設計されていないので、内装のツメやクリップは、外す回数を想定した作りになっていません。ここを扱う以上、破損のリスクはゼロにはできません。

だからこそ、その車種の構造を知っているかどうかが結果を左右します。

輸入車は、方式の選択が変わることがあります

輸入車は、内装の構造が国産車と異なり、部品の入手性や作業手順の情報も限られます。そのため、分解を伴う方式は避け、部品を取り外さない方式を選ぶという判断になることがあります。

輸入車にお乗りの場合は、問い合わせの時点で車種を伝えてください。どの方式で進めるかを、事前に整理してお伝えできます。

年式が古い車も、判断が分かれます

年式が古くなるほど、樹脂部品は硬く、もろくなります。新車のときは弾力のあったツメが、十数年経つと外した瞬間に折れる、ということが起こります。

古い車ができないという話ではありませんが、分解を伴う作業では慎重な判断が必要になります。この点でも、部品を取り外さない洗浄方式には利点があります。

同じ作業名でも、対応範囲は店ごとに違います

カメラ付きの高圧洗浄ホースを使う方式には、専用の機材が必要です。機材があり、かつ扱った経験がある業者となると、数は限られます。

「エアコン洗浄」を掲げている店であれば、スプレー式を含めれば数多くあります。しかしこの記事で書いた2番目・3番目の方式まで対応できるかどうかは、店ごとに違います。

料金表に同じ作業名が並んでいても、中身が違うのはこのためです。だから、料金ではなく作業範囲で比べてください。

次に頼むとき、何を確認すればいいか

ここまでを踏まえると、確認すべきことははっきりします。料金と作業名だけで比べないことです。

相談するときに、次の3つを聞いてみてください。

1. どの範囲まで作業するのか。スプレーを吹き込むのか、部品を取り外すのか、カメラで確認しながら洗うのか。ここが分かれば、料金の差の理由も分かります。

2. ブロアファンは洗うのか。画像3と4で見たとおり、ファンの汚れは風に直接乗ります。エバポレーターだけを洗って、ファンがそのままなら、汚れた風は出続けます。

3. 自分の車種で対応できるのか。ダッシュボード周りの構造は車種によって大きく違います。輸入車をはじめ、対応できない車種もあります。作業できる業者かどうかは、車種によって変わります。

そして、エアコン以外の場所も一緒に見てもらえるかどうかも確認してください。原因がシートや天井にある場合、エアコンだけを洗っても解決しません。

オゾン消臭では解決しない場合があります

臭いの相談をすると、オゾン消臭を提案されることがあります。ここも混同されやすいので、違いを整理しておきます。

作用する場所が違います

オゾン消臭は、空間に対して作用する処理です。

密閉した車内にオゾンを充満させ、空気中や表面に付着した臭いの成分を分解します。シートや天井の繊維に染みついた臭い、車内全体にこもった臭いに対しては効果があります。

一方で、エバポレーターの表面に固着したカビの汚れそのものを、物理的に取り除く作業ではありません。フィンの隙間に溜まったヘドロ状の汚れや、ブロアファンの羽根に付いた油分混じりの汚れは、洗って落とす以外に減らす方法がありません。

汚れを取り除く作業と、臭いを分解する処理は、別物です。

両方が必要なケースがあります

とはいえ、どちらか一方だけが正しいということでもありません。

たとえばタバコの臭いの場合、エアコン内部を洗浄しても、天井やシートに残ったヤニからは臭いが出続けます。この場合は内装の清掃と、空間に対する処理と、エアコン内部の洗浄を組み合わせるという判断になります。

逆に、原因がエアコン内部だけであれば、空間処理を足しても根本は変わりません。

どの組み合わせが必要かは、原因がどこにあるかで決まります。だから、最初の切り分けが重要になります。

クルピカ24でのオゾン消臭の扱い

なお、クルピカ24ではオゾン消臭を単体ではお受けしていません。車内清掃のオプションとしてのご提供になります。

理由は、空間処理だけを行っても、汚れが残っていれば臭いが戻るためです。汚れを落としたうえで空間を処理する順序でなければ、効果が続きません。

「消臭だけしてほしい」というご相談は多いのですが、その場合こそ、まず何が臭っているのかを確認させていただきたいとお伝えしています。

よくある質問

Q. 洗浄すれば、もう臭わなくなりますか。

いいえ。エアコンを使う限り結露は起きるので、時間が経てばまた発生します。洗浄は、溜まったものを一度リセットする作業です。降車前に送風で乾かす、フィルターを定期的に交換するといった習慣で、次までの期間を延ばすことはできます。

Q. どのくらいの頻度でやるものですか。

車の使い方や保管環境で大きく変わるので、一律には言えません。臭いが気になり始めたときが目安になります。

Q. エアコンフィルターを交換すれば直りますか。

フィルターの詰まりが原因であれば改善します。ただし、エバポレーターそのものにカビが生えている場合は、フィルターを新品にしても、その先から臭いが来ます。まず安いフィルター交換を試して、それでも残るなら内部、という順序が無駄がありません。

Q. 作業時間はどのくらいかかりますか。

作業の内容によって変わります。クルピカ24でご相談いただくエアコン内部の洗浄(エバポレーター洗浄)は、1時間を目安としています。

Q. 料金はいくらですか。

クルピカ24のエバポレーター洗浄は 35,000円(税込) です。

ただし、これは車内清掃のオプションとしての料金です。エバポレーター洗浄だけを単体でお受けする形は取っていません。基本清掃の料金(軽自動車 25,000円 / 普通車 30,000円 / 大型車 35,000円、いずれも税込)に加算される形になります。

単体で受けない理由は、この記事で書いてきたとおりです。エアコンの内部だけを洗っても、フィルターや内装に原因が残っていれば臭いは戻ります。車内を清掃したうえでエアコン内部を洗う、という順序でないと、結果が続きません。

Q. タバコの臭いにも効きますか。

エアコン内部に吸い込まれたヤニに対しては作用します。ただしタバコの場合、天井やシートなど内装全体にも付着していることがほとんどです。エアコンだけでは足りないケースが多く、内装の清掃やオゾン消臭と組み合わせる判断が必要になります。

Q. 自分でやってもいいですか。

エアコンフィルターの交換と、市販のクリーナーを使うところまでは、ご自身でされている方が多くいます。そこまでは、試す価値があります。

一方で、ダッシュボード周りを分解する作業はおすすめしません。内装のツメやクリップは外す回数を想定した作りではなく、折れると部品の交換が必要になります。配線やコネクタが通っている場所でもあります。作業をやり直すより、費用がかかる結果になりがちです。

Q. エアコンフィルターは、どのくらいで交換すればいいですか。

走る環境で変わります。交通量の多い道を毎日走る車と、週末しか乗らない車では、詰まり方がまったく違います。

目安として、1年に一度、または冷房を使い始める前に一度状態を見るというやり方であれば、大きく外しません。取り外して光にかざしてみて、向こう側が透けて見えないほど詰まっていれば交換時期です。

Q. 作業のあいだ、車は預けることになりますか。

クルピカ24は出張型です。ご自宅や職場の駐車場など、作業できる環境があればその場で対応します。車を持ち込んでいただく必要はありません。

作業には、車のまわりに人が動けるスペースが要ります。マンションの駐車場、月極、コインパーキング、ご自宅前でも作業しています。

電源と水は、地域によって、持参する場合と、お借りする場合があります。どちらの場合も、そのための追加費用はかかりません。

駐車場の状況をお知らせいただければ、当日の進め方を事前にお伝えします。

Q. 洗浄した後、すぐ乗れますか。

作業内容によって変わります。ご相談時に、当日の流れとあわせてご説明します。

Q. ディーラーや整備工場でもやってもらえますか。

対応しているところもあります。この記事で書いた3つの方式のうち、どれで作業されるかは店ごとに違うので、そこは同じように確認してください。

相談先

ここまで読んで、「自分の車はエアコンの内部が原因かもしれない」「フィルターは替えたが変わらなかった」と感じた方は、一度状況をお知らせいただければ、どの範囲の作業が必要かをお伝えできます。

クルピカ24は、出張型の車内清掃の受付・手配を行っています。ご自宅や職場の駐車場までうかがい、その場で作業します。ご相談の内容と地域に応じて、対応できる提携先・協力先をご案内します。

原因がエアコンの内部なのか、シートや内装なのか。まずはそこの切り分けからお手伝いします。

臭いの相談は、車内清掃としてお受けしています。エアコン内部の洗浄は、そのオプションという位置づけです。「どこが原因か分からない」という状態のままで構いません。症状を教えていただければ、必要な作業を組み立ててご提案します。

お知らせいただきたいのは、次の3つです。

  • 車種と年式
  • お住まいの地域
  • どんな臭いが、いつするか(エアコンを切っても臭うかどうか)

→ クルピカ24に相談する

あわせて読みたい記事です。

→ 車のエアコンが最初だけ臭う原因|進行の4段階と自分で止める方法

→ 車のカビ臭さの取り方|エアコン以外の6つの発生源と探し方

→ 車内の臭いと汚れの情報(記事の一覧)

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