シートの汚れが気になって、業者を調べてみた。
出てきた金額が、ばらばらだった。
数千円のところもあれば、数万円のところもある。同じ「シートクリーニング」という言葉なのに、なぜここまで違うのか分からない。
そして、そもそも自分で洗えば済む話なのかも、判断がつかない。
この記事は、その状態の方に向けて書いています。
先に結論を書きます。金額が違うのは、やっている作業が違うからです。
同じ「シート清掃」という言葉が、実は3つの別の作業を指しています。それを区別しないまま金額だけを並べると、比べているつもりで何も比べていないことになります。
この記事では、作業の中身と料金がどう対応しているのかを先に整理します。そのうえで、自分で洗う場合に本当にかかるものを書きます。
なお、汚れの落とし方そのものと、必要な道具については、別に記事があります。手順を知りたい方は、そちらを先に読んでください。
→ 車のシートの汚れの落とし方|汚れの種類で変わる洗剤の選び方
→ 車内清掃の道具の選び方|最低限の5つと、掃除機がないときの代わり
この記事で書くのは、手順ではなく「判断」のほうです。
1. 「シート清掃はいくらですか」に、そのまま答えられない理由
料金を調べていて、はっきりした金額が出てこないと感じたことはないでしょうか。
業者が出し渋っているわけではありません。
何をするかが決まらないと、金額が決まらないからです。
たとえば「部屋の掃除はいくらですか」と聞かれても、答えようがありません。掃除機をかけるだけなのか、水回りまで洗うのか、荷物を全部出すのかで、まったく別の作業になります。
車のシートも同じです。
- 表面のほこりを取って、拭く
- 繊維の中に染み込んだものを、洗って吸い出す
- シートを車から外して、丸ごと洗う
この3つは、必要な時間も、機材も、場所も違います。同じ金額になるはずがありません。
だから、金額を比べる前に、自分が何をしてほしいのかを決める必要があります。
そして、それを決めるには、3つの作業が何をするものなのかを知っておく必要があります。次の章がそれです。
2. 作業の3段階 — ここが料金の正体です
料金の違いは、ほぼこの段階の違いで説明がつきます。
段階1:表面を拭く
シートの表面についているものを取る作業です。
掃除機でほこりと砂を吸い、クロスで拭く。汚れている部分に洗剤を使って、拭き取る。
時間はそれほどかかりません。特別な機材も要りません。
そして、これは自分でもできます。
段階2:繊維の中を洗って、吸い出す
布のシートは、スポンジのような構造をしています。表面だけでなく、中まで汚れが入っています。
こぼした飲み物、汗、皮脂。これらは表面ではなく、繊維の内側にあります。
ここを洗うには、水や洗剤を入れて、汚れを浮かせて、それを吸い出す必要があります。この「吸い出す」ための機械が要ります。
リンサークリーナー(水を吹き付けて、汚れごと吸い取る機械)と呼ばれるものです。家庭用のものも売られています。
この段階から、機材が要るようになります。そして、吸い出したあとに乾かす時間が必要になります。
段階3:シートを外して洗う
車からシートを取り外して、裏側や、外したときにしか届かない部分まで洗います。
シートの下や、シートの内部にまで汚れや臭いが入っている場合、取り付けたままでは届きません。
この作業は、脱着そのものに手間がかかります。シートには安全に関わる配線が通っていることがあり、外して戻す作業には確認が要ります。
料金が大きく変わるのは、ここです。
3段階を並べると
| 段階 | やること | 必要なもの | 自分でできるか |
|---|---|---|---|
| 1. 表面 | ほこりを取る、拭く | 掃除機、クロス、洗剤 | できます |
| 2. 中を洗う | 水を入れて汚れを吸い出す | 吸い出す機械、乾燥の時間と場所 | 条件つきでできます |
| 3. 外して洗う | シートを取り外して洗う | 工具、作業場所、戻す作業 | おすすめしません |
見積もりの金額は、どの段階までやるかで決まります。
3. 自分でやると、何にどれだけかかるか
「自分でやれば安く済む」と考えるのは自然です。
確かに、費用としては安く済みます。ただ、お金以外にかかるものがあります。そこを先に見ておいてください。
かかるのは、お金より時間です
段階1(表面を拭く)なら、汚れている部分だけなら30分ほどで終わります。ここは、やる価値が大きいです。
問題は段階2です。
シート1脚を、水を入れて洗って、吸い出す。この作業自体は、慣れていなくても1時間もあれば終わります。
終わらないのは、そのあとです。
本当のコストは「乾燥」です
水を使って洗ったシートは、すぐには乾きません。
表面は数時間で乾いた感じになります。でも、中はまだ湿っています。シートはスポンジ状の構造をしているので、内部に水を抱えます。
そして、乾ききらないまま使うと、臭います。
湿った状態が続くと、そこでカビや雑菌が増えます。きれいにするつもりで洗ったのに、洗う前より臭くなる。これは実際によく起きます。
乾燥にどれくらいかかるかは、季節と場所で変わります。
- 夏の晴れた日に、窓を開けて風を通せる場所に置ける … 早く進みます
- 梅雨時、屋外の駐車場、雨が続いている … かなり時間がかかります
- 冬の日陰、屋根のない場所 … さらにかかります
つまり、「車をしばらく使わないでいられるか」が、自分でやれるかどうかの条件になります。
平日に通勤で使っている車で、土曜の朝に洗って、日曜の夜には乾かしたい。この条件だと、季節によっては厳しくなります。
失敗すると、追加でかかります
自分でやって、うまくいかなかった場合に起きることがあります。
| 失敗 | そのあとどうなるか |
|---|---|
| 乾ききらずに使った | 臭いが出る。乾かし直しても戻らないことがある |
| 洗剤が残った | 乾いたあとに白い跡が出る。もう一度すすぐ必要がある |
| 一部だけ洗った | そこだけきれいになって、周りとの差が目立つ |
| 擦って傷めた | 布の毛羽立ちや、革の表面の傷は元に戻りません |
このうち、最後のものだけは取り返しがつきません。
擦らないこと、洗剤を濃くしないこと。この2つを守れば、大きな失敗はほぼ防げます。詳しくは汚れの落とし方の記事に書いてあります。
乾燥を早くするために、できること
乾かす時間そのものを短くする方法があります。自分でやるなら、ここを押さえておいてください。
① まず、水を入れすぎない
いちばん効くのはこれです。入れた水の量が、そのまま乾燥時間になります。
洗剤を吹きかけるとき、たっぷりかけたくなります。汚れが濃いほど、そう思います。でも、入れた分は全部吸い出すか、乾かすかしなければなりません。
濡らす量を最小限にして、そのぶん回数を分けるほうが、結果として早く終わります。
② 吸い出しを、しつこくやる
リンサーやタオルで吸い出す作業は、「もう出ないな」と思ってからあと2〜3回やってください。
このひと手間が、乾燥時間を大きく変えます。吸い出せる水は、乾かす必要がありません。
③ 風を当て続ける
窓を開けて、サーキュレーターや扇風機を回します。強い風を短時間より、弱くても長く当てるほうが乾きます。
車のドアを2枚開けて、片側から入って反対側へ抜けるように置いてください。閉じた車内で風を回すだけだと、湿った空気が循環します。
④ シートを前に倒す、座面を起こす
シートの裏側や、座面の下は風が当たりません。動かせる範囲で角度を変えて、風の当たる面を増やしてください。
⑤ 天気を選ぶ
当たり前ですが、いちばん確実です。
洗うのは晴れが続く日の午前中にしてください。夕方に洗うと、乾き始める前に夜になります。そして夜間は気温が下がって、湿度が上がります。
梅雨時に屋外で洗うのは、避けたほうが無難です。どうしてもやるなら、屋根のある場所を確保してからにしてください。
まとめると
自分でやる場合にかかるのは、お金ではなく「時間」と「乾かせる環境」です。
- 段階1だけなら、迷わずやる価値があります
- 段階2は、乾かせる条件がそろっているかで決まります
- 段階3は、おすすめしません
4. 自分でやって解決する汚れ、しない汚れ
もうひとつ、判断の材料があります。
汚れの種類によって、自分でできる範囲が変わります。
自分でできる可能性が高いもの
- こぼしてすぐの、乾いていない汚れ
- 表面についた泥や砂
- 軽い皮脂汚れ
- 飲み物の染み(時間が経っていないもの)
共通しているのは、まだ繊維の奥まで入っていないことです。
自分では難しくなるもの
- 時間が経って、繊維の奥まで入った染み
- 臭いが取れない(汚れは見えないのに臭う)
- シートの下や、隙間の奥から臭う
- 広い範囲が全体的に汚れている
「臭いが目的」の場合、自分でやる難しさが一段上がります。
見えている汚れを落とすのと、臭いを消すのは別のことです。臭いの元は、たいてい見えないところにあります。
判定する方法
ひとつだけ、はっきりした判定方法があります。
自分で洗って、乾いたあとに臭いが戻ってくるかどうかです。
洗った直後は、水と洗剤の匂いで分かりません。完全に乾いてから、朝いちばんに乗り込んで確かめてください。
戻ってきたなら、届いていない場所に元があります。
そこから先は、洗い方を工夫しても届きません。同じことをもう一度やっても、同じ結果になります。
この「戻ってきた」という結果は、無駄ではありません。「表面の問題ではない」と分かったということです。それは、業者に相談するときにそのまま伝えられる情報になります。
5. 見積もりを比べるときに、そろえる4つの条件
複数の業者に問い合わせるなら、同じ条件で聞いてください。
条件がずれていると、金額を比べても意味がありません。
① どの段階までの作業か
第2章の3段階のうち、どこまでやるのか。
「シートクリーニング」という言葉だけでは分かりません。「繊維の中まで洗って吸い出しますか」と聞けば、はっきりします。
② 1脚だけか、車内全体か
シート1脚を洗うのと、車内全体をやるのでは、当然金額が違います。
そして、ここには落とし穴があります。1脚だけ洗うと、そこだけきれいになって、周りとの差が目立つことがあります。
特に、運転席だけを洗った場合。運転席は人が座る時間がいちばん長いので、いちばん汚れています。そこだけ元の色に戻ると、助手席や後部座席の汚れが逆に見えるようになります。
③ 乾燥をどう扱うか
洗ったあと、どうやって乾かすのか。
その場で乾かして返すのか、乾ききらない状態で終わるのか。乾燥まで含めた作業なのかどうかで、時間も金額も変わります。
「作業後、どれくらいで普通に乗れますか」と聞いてください。この質問への答え方で、乾燥をどう考えている業者かが分かります。
④ 作業する場所
持ち込むのか、来てもらうのか。
持ち込みの場合、車を預けている間の移動手段が必要になります。その分の手間も、比較の材料に入れてください。
出張の場合、作業する場所の条件があります。駐車場で作業できるのか、電源や水が必要なのか。
6. 「安い見積もり」が安い理由は、2つあります
複数の見積もりを取ると、明らかに安いところが出てくることがあります。
安い理由は、だいたい次のどちらかです。
理由1:作業範囲が狭い
段階1だけをやる、という内容です。
表面を拭いて、掃除機をかける。これは正当な作業で、値段相応です。
問題は、こちらが段階2を期待している場合です。期待とやることがずれているだけで、業者が悪いわけではありません。
確認方法は、第5章の①です。「繊維の中まで洗いますか」と聞けば分かります。
理由2:あとから足される
最初に安い金額を出して、作業当日に追加されるパターンです。
「思ったより汚れがひどいので」「この汚れは別料金です」といった形で足されます。
これを見分ける質問があります。
「この金額から増えることがあるとしたら、どういう場合ですか」
答えられる業者は、条件がはっきりしています。「見てみないと分かりません」だけで終わる場合は、当日に何が起きるか予測できない、ということです。
汚れの種類で加算されるかを、先に確認してください
業者によっては、汚れの種類ごとに料金を足す仕組みになっています。
犬の毛は追加でいくら、嘔吐の痕は追加でいくら、タバコのヤニは追加でいくら。そういう料金表を持っているところがあります。
この仕組み自体は、悪いものではありません。手間がかかる作業に対して料金を設定するのは、理屈としては通っています。
ただ、依頼する側から見ると、金額が読めません。
自分の車の汚れが「どの種類」に判定されるかは、業者が見て決めます。先に金額を確定できないということです。
だから、先に聞いてください。
「汚れの種類や量で、金額が変わることはありますか」
変わると言われたなら、どういう場合にいくら増えるのかまで聞いてください。そこまで聞いて初めて、他社と比べられる状態になります。
7. 部分でいいのか、全体なのか
「シート1脚だけ」で足りるかどうかは、目的によって変わります。
見た目が目的の場合
汚れている場所が1か所だけなら、部分で足りることがあります。
ただし、第5章②で書いたとおり、そこだけきれいになると差が出ます。気になる程度は人によりますが、「きれいにしたら他が気になり始めた」はよく起きます。
臭いが目的の場合
部分では終わらないことが多いです。
臭いは空気に乗って車内全体に回ります。シート1脚だけを洗っても、他のところに元が残っていれば、また臭います。
臭いの元になりやすいのは、次のような場所です。
- シートの下(食べこぼしが落ちて、そのままになっている)
- フロアカーペット(飲み物がこぼれて染みている)
- シートベルトの根元
- エアコンの内部(これはシートとは別の問題です)
エアコンから臭っている場合、シートを洗っても変わりません。これは切り分けが必要です。
→ 車のエアコンが最初だけ臭う原因|進行の4段階と自分で止める方法
判断の目安
| 目的と状態 | 向いている範囲 |
|---|---|
| 1か所に染みがある。他はきれい | 部分でよい |
| 運転席だけがへたって汚れている | 部分でよい(差が出る可能性は承知のうえで) |
| 臭いが車内に回っている | 全体で考える |
| 中古車を買って、前の持ち主の臭いが残っている | 全体で考える |
| どこが原因か分からない | 全体で考える |
8. クルピカ24の場合
この記事を書いているのは、出張型の車内クリーニングを行っているクルピカ24の運営会社です。自社の料金を、そのまま書きます。
基本料金は、車種で決まります
車内基本清掃の料金です。
| 車種区分 | 料金(税込) |
|---|---|
| 軽自動車 | 25,000円 |
| 普通車 | 30,000円 |
| 大型車 | 35,000円 |
大型車には、ミニバン・大型SUV・ワンボックス・4tトラックまでが入ります。
ヴォクシー、ノア、セレナ、ステップワゴン、アルファード、ヴェルファイアなどは、大型車の区分です。「普通車」と思われがちですが、車内の広さが違うので区分が変わります。
全国47都道府県で対応しています。
汚れの種類でも、量でも、金額は変わりません
ここは、はっきり書いておきます。
犬や猫の毛が多い、タバコのヤニが染みている、嘔吐の痕がある、ペットの粗相があった。
これらで料金が変わることはありません。上の車種区分の金額です。
第6章で書いた「汚れの種類ごとの追加料金」の仕組みを、クルピカ24は持っていません。
ひとつだけ例外があります。吐瀉物がそのまま残っている場合は、除去の作業が別に発生するため、追加22,000円(税込)です。これは汚れの種類ではなく、状態による加算です。
オプションは、選べます
基本料金に足せるものです。付けるかどうかは選べます。業者側が汚れを見て勝手に足すものではありません。
| オプション | 料金(税込) |
|---|---|
| シート脱着 | 11,000円/脚 |
| オゾン消臭 | 12,000円 |
| 天井清掃 | 10,000円 |
| エバポレーター洗浄 | 35,000円 |
| 防カビコート | 8,000円 |
| チャイルドシート清掃 | 5,500円 |
天井清掃が別になっている点は、先に書いておきます。基本料金に天井は含まれていません。だから「車内全体清掃」ではなく「車内基本清掃」と呼んでいます。
オゾン消臭とエバポレーター洗浄は、単体では承っていません。基本清掃に付けるオプションとしてのみです。臭いの元が残ったままオゾンだけをかけても、戻りやすいためです。
シート1脚だけの相談も受けています
シート部分清掃は 22,000円(税込)です。全国で対応しています。
ただし、第7章のとおり、臭いが目的なら部分では終わらないことがあります。そこは相談したうえで決めてください。
向いていない場合
正直に書きます。
- 表面を拭くだけで足りる … 自分でやったほうが早いです
- 予算をできるだけ抑えたい … 段階1は自分でできます
- エンジンや電装系の不調がある … 整備の相談先へ
9. お金をかけても解決しないことがあります
先に書いておきます。頼めば必ず解決する、というものではありません。
ここを知らずに頼むと、金額に納得できない結果になります。
洗っても直らないもの
汚れではないものは、洗っても変わりません。
| 状態 | 洗って直るか |
|---|---|
| 生地の擦り切れ、破れ | 直りません(張り替えの領域です) |
| 座面のへたり、沈み込み | 直りません(中のクッション材の問題です) |
| 日焼けによる色あせ | 直りません |
| 革の表面のひび割れ | 直りません |
| 繊維に定着した色素(ボールペン、染料など) | 薄くなっても、完全には消えないことがあります |
「きれいにしたい」の中身が、汚れなのか、傷みなのか。ここを分けて考えてください。
傷んでいるものを洗っても、きれいな傷みになるだけです。
臭いの元が、シート以外にある場合
シートを洗って、それでも臭う。これは実際に起きます。
臭いの元は、次のような場所にあることがあります。
- フロアカーペットの下(外して洗えない場所です)
- エアコンの内部(シートとは全く別の問題です)
- 天井(喫煙車の場合、ヤニは天井にいちばん溜まります)
- シートの内部(表面から洗っても届かない奥)
このうち、天井は基本料金に含まれていません。タバコの臭いが目的なら、天井を含めるかどうかで結果が変わります。
エアコンが原因の場合、シート清掃は無関係です。先に切り分けてください。エアコンを切って窓を開けて走っても臭うなら、シート側の可能性があります。エアコンをつけたときだけ臭うなら、シートを洗っても変わりません。
同じ使い方をすれば、また同じ状態になります
これは当たり前のようで、見落とされます。
犬を乗せ続ける、車内で食事をし続ける、喫煙を続ける。洗ったあとも同じ使い方をすれば、また同じところに戻ります。
だから、洗ったあとに何をするかまで含めて考えてください。
- 犬を乗せるなら、洗ったあとにシートカバーやマットを敷く
- 食べこぼしが多いなら、こぼした直後に対処する習慣をつける
- 喫煙するなら、窓を開ける・フィルターを定期的に替える
「洗う」は一度きりの作業で、「汚れにくくする」は続く工夫です。両方やらないと、費用が繰り返しかかります。
それでも、洗う意味はあります
ここまで書くと、洗っても無駄だと読めるかもしれません。そうではありません。
汚れと臭いは取れます。取れないのは、傷みと、別の場所にある元です。
大事なのは、何が取れて何が取れないかを、頼む前に知っておくことです。
「思っていたのと違う」の多くは、期待と作業の範囲がずれていたことが原因です。先に分かっていれば、その分の予算を張り替えに回すのか、範囲を広げるのか、選べます。
10. 洗う、張り替える、隠す — 3つの選択肢
料金を考えるとき、洗う以外の選択肢も並べておくと判断しやすくなります。
洗う
汚れと臭いを取る方法です。
元の生地をそのまま使います。破れやへたりは直りません。あくまで汚れを取る作業です。
張り替える
シートの表皮を新しくする方法です。
破れ、擦り切れ、色あせ。これらは洗っても直りません。張り替えなら直ります。
費用は洗浄より大きくなります。内装を扱う専門の業者の領域です。
カバーをかける
上から隠す方法です。
汚れも臭いも、そのまま残ります。ただし、これから汚れるのを防ぐ効果はあります。
小さなお子さんが乗る、犬を乗せる、仕事で汚れやすいものを運ぶ。こういう場合は、洗ったあとにカバーをかけるのが現実的です。
選び方
| 状態 | 向いている選択肢 |
|---|---|
| 汚れている。生地は傷んでいない | 洗う |
| 破れている、擦り切れている | 張り替える(洗っても直りません) |
| これから汚れそう | カバー(洗ってからかける) |
| 汚れも臭いもあるが、予算を抑えたい | 洗う → カバー |
洗わずにカバーだけかけると、下に汚れと臭いが残ったままになります。臭いが目的なら、順番を逆にしないでください。
11. 頼む前に自分でやっておくと、話が早いこと
依頼を決めたとして、先にやっておくと進みが早くなることがあります。
① 私物を出しておく
シートの下、ドアポケット、グローブボックス。
作業の前に出しておくと、当日そこで時間を使わずに済みます。貴重品は必ず自分で持ち出してください。
② 汚れている場所を、写真に撮っておく
問い合わせるときに、言葉で説明するより早いです。
「後部座席の右側に、コーヒーをこぼした跡があります」と文字で書くより、写真1枚のほうが正確に伝わります。
③ いつ、何をこぼしたかを思い出しておく
汚れの種類が分かると、対処が変わります。
- 何をこぼしたか(飲み物、食べ物、油、薬品)
- いつごろか(昨日か、数か月前か)
- 自分で何をしたか(拭いた、洗剤を使った、そのままにした)
「自分で洗ってみたが、乾いたら臭いが戻った」は、特に伝える価値があります。第4章のとおり、切り分けの情報になります。
④ 掃除機だけかけておく
砂とほこりを取っておくと、そのあとの作業が進めやすくなります。
これは必須ではありませんが、やっておいて損はありません。
12. よくある質問
自分で洗うのと頼むので、仕上がりはどれくらい違いますか
段階1(表面)の作業なら、大きな差は出ません。丁寧にやれば、自分でも同じところまで届きます。
差が出るのは段階2からです。繊維の中に入ったものを吸い出す作業と、そのあとの乾燥。ここは機材と条件の差がそのまま出ます。
家庭用のリンサークリーナーでも足りますか
汚れの範囲と、時間の経過によります。
こぼしてすぐの染み、範囲が狭いものなら、家庭用でも対応できることがあります。時間が経って奥まで入ったもの、範囲が広いものは、届かないことがあります。
やってみて、乾いたあとに戻るかどうかで判断してください。
コインランドリーでシートを洗えますか
シートは洗濯機に入れるものではありません。
チャイルドシートのカバーなど、外して洗えると明記されているものは別です。取扱説明書に従ってください。
車のシートそのものは、取り外して丸洗いする構造にはなっていません。
洗ったあと、どれくらいで乗れますか
季節と、乾かせる場所によって変わります。確定した日数はお伝えできません。
判断は「触って湿っていないか」ではなく、「一晩締め切ったあと、朝に臭わないか」で行ってください。表面が乾いていても、中が乾いていないことがあります。
見積もりは無料ですか
業者によって違います。問い合わせるときに確認してください。
出張して見てから金額を出す形なのか、電話やメールで金額が出るのか。ここも比べる条件のひとつです。
中古で買った車の臭いも、シート清掃で取れますか
シートが原因なら取れる可能性があります。ただ、中古車の臭いはシート以外が原因のこともあります。
前の持ち主の使い方によって、エアコン内部、天井、カーペットのどこに残っているかが変わります。
→ 中古車のエアコン臭・カビ臭の原因|保証で直るか、自分でできる対処
革シートも同じ料金ですか
クルピカ24では、車種区分の料金です。素材による加算はありません。
ただし、革と布では作業の中身が変わります。革は水を吸わないので、繊維の中を洗うという考え方が当てはまりません。表面と、縫い目やパンチングの穴の汚れが対象になります。
部分清掃だけ頼むことはできますか
できます。シート部分清掃は22,000円(税込)で、全国で対応しています。
ただし、臭いが目的の場合、部分では終わらないことがあります。第7章を確認してください。
掃除してもらったあと、また汚れたらどうすればいいですか
汚れた直後に対処するのが、いちばん効きます。
こぼしてすぐなら、押さえて吸い取るだけで済むことが多いです。乾いてからでは、繊維の中に入ります。
日常の対処については、汚れの落とし方の記事に書いてあります。
13. まとめ
シート清掃の料金について書いてきました。整理します。
- 金額が違うのは、やっている作業が違うからです
同じ「シート清掃」が、表面を拭く作業・中を洗う作業・外して洗う作業の3つを指しています。どこまでやるかで金額が決まります。
- 見積もりを比べるなら、条件をそろえてください
作業の段階、範囲、乾燥の扱い、作業場所。この4つがそろって初めて比べられます。
- 自分でやる場合のコストは、お金ではなく時間です
洗う作業自体は1時間ほどで終わります。終わらないのは乾燥です。車をしばらく使わないでいられるかが、実際の条件になります。
- 段階1は、迷わず自分でやる価値があります
表面の掃除は、自分でやったほうが早くて安いです。そのうえで、それで足りるかどうかを見ればいい。
- 乾いたあとに臭いが戻るなら、届いていない場所に元があります
これがいちばん分かりやすい判定です。同じことを繰り返しても、同じ結果になります。
- 「汚れの種類で加算されるか」を先に聞いてください
業者によって仕組みが違います。先に聞いておけば、当日に金額が動きません。
最後にひとつ。
順番を間違えないでください。
臭いが目的なのに、シート1脚だけを洗う。カバーをかけてから汚れに気づく。目的と作業がずれていると、お金をかけても解決しません。
何を解決したいのかを決めてから、範囲を決める。この順番でいけば、料金の比べ方も自然に決まります。